CARCASS / Surgical Steel
17年ぶり6thアルバム。マイケル・アモット(G)による働きかけで、ビル・スティアー(G)とジェフ・ウォーカー(Vo/B)は再びCARCASSの炉に火をいれた。当初はライヴ活動のみだったが、そんなことを数年やっているうちにCARCASSとしての新たな創作意欲が湧き、こうして形となったという。体調の問題によりケン・オーウェン(Ds)は不在だが、本作は名作「Heartwork」の流れを汲んだ、期待を裏切らないCARCASSミュージックで満たされている。ジェフの独特な濁声、そしてビルのギターメロディーやリフの刻み方まで、絶頂期の彼らを彷彿させる要素が其処彼処に聴けるのだ。当時と異なる点としては、リズムが機械的にに安定していること。今やそんなのは当たり前と思われるかもしれないが、彼らの場合はその生々しいリズムの“揺れ”なんかが寧ろ味わいでもあり、またそういった稚拙な面を補って余りある豊富なアイデアで溢れていたところに魅力を感じるのである。それと比べると、この安定感抜群なCARCASSは何だかスッキリし過ぎた印象すら覚えるが、それはおそらく時間の問題で、すぐに気にならなくなるだろう。長期間のブランクを経た再結成作品は、期待値が高くハードルが上がるため高評価を得るのはなかなか難しいが、本作はそこを見事に越えてきたと言ってよい。