EMPEROR / IX Equilibrium
ノルウェーを代表するブラックメタルバンドの1つ、EMPERORの3rdアルバム。一般的に問題作とされている本作は、たしかに1stアルバムを良しとする根っからのブラックメタルファンからすれば違和感があるのかもしれないが、私に言わせれば紛れもなく最高傑作である。サウンドの質の著しい向上によってプリミティヴな禍々しさこそ減退はしているが、それと引き換えに恐ろしいまでの冷徹感が引き出され、輪郭が明確になった分だけ細部に至るまで構築美を感じ取り易くなった。アグレッシヴかつメロディアスなギターとシンフォニックなシンセサウンドが新たなる皇帝世界を織り成し、ブラストを含む強靱なドラミングがこれをがっちりと支えている。ブラックメタル云々ではなく、広くエクストリームミュージックの名盤としてお薦めしたい1枚。