14thアルバム。かつて8th「Risk」で試みた、MEGADETHとしての実験的サウンドは結局成就せず、再び一般的に彼ららしいと感じられるようなスラッシーなスタイルに戻った。それはそれで素晴らしい作品も生まれており結構なことなのだが、やはりデイヴ・ムステイン(Vo/G)としてはMEGADETHを進化、いや深化させたいという気持ちがあったに違いない。本作2曲目「Super Collider」はポップなメロディでこれまでにないキャッチーなテイストに仕上げられているのだが、不思議とすんなり受け入れることができた。これをアルバムタイトルに据えたところに、ムステインの意欲が見て取れる。ポップに感じるのはその1曲くらいだが、その他の曲もスラッシュメタルという枠を取っ払いながらもMEGADETHらしさを色濃く感じさせるのは、まさに深化の証にほかならない。1曲1曲をみれば、過去作品に収められてもさほど違和感無いものだったりするのだが、アルバム全体から受ける印象は異なる。メタルというフィールド内ではあるが、ようやく彼らも（スラッシュメタルという）限定的なジャンルから解放されるときがやってきたのではないだろうか。といいつつ、6曲目「Dance In The Rain」の後半がどこか2nd「Peace Sells, But Who’s Buying?」を彷彿させ、嬉しかったりもするのだが（笑）とにかく、十分評価に値する力作だ。